USBメモリを買った話

USBメモリを買った話

人に頼まれてデータ移行用のUSBメモリを買った。容量がなるべく大きくて、できるだけ安いもの、と。どうやら地方だとそれなりの値段がするらしい。

探してふらふらしていたら、USB3.0対応、128GBで3980円というものを発見した。メーカーも信頼できるところだし、販売店も十分信頼がおけるお店。公称速度も、Read85MB/s、Write25MB/s。USB3.0としては遅いけど、これなら問題ないだろうと、ほくほく顔で購入した。

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これ遅くない?

動作確認のためにパソコンに挿すが、なかなか認識しない。
ふと疑問に思ったものの、席を外して少ししたあとに認識されていた。

次はフォーマット。新品だし128GBだからクイックでいいやと。
しかしフォーマットが遅い。クイックのくせに遅い。128GBだからこんなものなのか?
5分程度でフォーマットが完了し、容量は正しく認識された。
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試しにデータを転送してみる。
遅い。遅い。。遅い。。。USB3.0で認識してる?
Explorerがかたまって落ちる。初期不良
バイス再認識、再フォーマット、接続ポート変更あたりを試し、パソコン自体も再起動させてみたけれども、状況は改善せず。
試しにCDMでベンチを取ってみた結果がこちら。
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明らかにUSB3.0の速度が出ていない。USB2.0ポートで計測した結果はこちら。
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あ…れ…?USB2.0のほうが速いんですけど…。確かにWriteの速度はUSB3.0で接続したほうが出てるので、USB3.0としては認識してるんだろう。


その後

販売店で検証してもらったところ、同様の傾向だったので、うちの環境との相性というわけではなさそうだ。
他の在庫品でも同じということは、きっとこれが仕様だということなんだろう。

遅いだけなら割り切るんだけど、Explorer巻き込むのは問題と思い、別のものに交換してもらいました。販売店さんごめんなさい。

公称値、、、?

今回の物はAmazonJPとかにレビューがないのですが。。。

メーカー公式の製品ページだとこちら。メーカー公称の速度が記載してありますね。販売店さんもここから数値を引っ張ってきたそうです。
http://www.verbatim-europe.co.uk/en/prod/v3-usb-drive-128gb-49189/?con=2www.verbatim-europe.co.uk
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Amazon.comやAmazonUKには若干数のレビューがある。速度計測してる人はあまりいないけれども…。
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www.amazon.co.uk

メーカー公称でRead85MB/s、Write25MB/sを謳っている。
その速度が出るとは思っていないけれども、せめて半分ぐらいは出るものだと思っていたのです。しかしこのザマという。

結局安いUSBメモリは遅いんだな

お話しを聞いたところ、128GBモデルのみTLC-NANDを採用しているそう。
TLC-NANDがなんなのかは、ここらへんを参照して欲しいのですけども、要するに従来だと1bitしか記録できなかったNANDに、無理やり3bitを記録できるようにした感じですね。
e-words.jp

NANDフラッシュメモリでの違いを簡単にまとめてみると、こんな感じです。

SLC MLC TLC
1セルあたり 1bit 2bit 3bit
速度 高速 - 低速
価格 高価 - 安価
大容量化 困難 - 容易
信頼性 高い - 低い
小型化 困難 - 容易

SLCのフラッシュメモリはほとんど市場に出回っていない認識でOKay。一般的なユーザが購入しているのは、大体はMLCTLCのモデル。
TLCは安価に大容量を実現できるけれども、その分信頼性や速度を犠牲にしている。安価な大容量USBメモリは大体がTLCメモリ採用モデル。大容量を安価に製造するには、それしかないわけだから。
TLCだから悪いわけではなく、コントローラの設計次第では速度を出すことができる。ただ現実問題として、高速なコントローラを採用すればその分価格は上がる。TLCメモリを採用して安価にするという意味がなくなってしまう。

似非USB3.0メモリは絶滅してください

実はこれUSB3.0である必要がない速度領域なんですよね。USB2.0で33MB/s程度は速度が出せますから。
安価なUSBメモリに多いのですけど、USB3.0を採用している意味がない製品もちらほら見かけるのは事実。
USB3.0USB2.0という規格自体の数値を出して、○○倍高速!なんて謳っている製品の多いことよ。
一般的な人なら、パッケージに記載されている○○倍高速!を信じて買ってしまうだろうし。
確かに小さな文字で記載されているんだけどもね。

参考データ

ちなみに速度が出るUSB3.0メモリだと、だいたいこのぐらいの速度。
これはグリーンハウスのPicoDriveF3のデータ。2011年発売モデルなので、かなり古いものではあるけども、4chコントローラ採用で当時としては非常に高速なモデル。
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こちらはUSB3.0メモリの鉄板、Sandisk Extreme。
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教訓

フラッシュメモリ系は、それなりのものを買ったほうがいいんだろう、というお話しでした。