尊敬している人は誰ですか?

尊敬している人は誰ですか?

これ、わかんないよね。
「私の尊敬する人物は、徳川家康です!」みたいに歴史上の人物をあげる人もいるけど、実際会ってもいない人を尊敬できるって、ある意味すごいなと思う。

学生時代の就活で、聞かれたことが一回だけある。
「尊敬する人物はいません」と答えた。事実そんな人徳がある人など、自分の周囲に存在しなかったし、歴史上の人物をあげることに対して疑問を持っていた。

今の自分が尊敬する人は

今あげるなら、過去一緒に仕事をした何人かの技術者をあげる。

脳内に一瞬で計算式が浮かぶ F課長

一番最初に就職したのは、総合電機メーカーでの開発職だった。
そこでお世話になったF課長が、一番最初に出会った、尊敬できる人。

彼の言葉で、今でも一番印象に残っている言葉。
「技術は嘘をつかないけど、技術者は嘘をつくんだ。」
高校卒業して就職し、右も左も何にもわかんない自分が、仕事のやり方で一番最初に言われたのがそれだった。衝撃だったよね。

「だって数値って計算すればわかる」
F課長は、一瞬で計算式が脳内に導き出される人だった。
直感的に判断するのだけど、話を聞くとしっかりと計算式が導き出されており、それを前提として、わかりやすく説明をしてくれた。
Excelや解析ツールを使って、わかりやすいグラフなんかにして、教えてくれたのです。

「謎の係数エックス」
あの職場でよく使われている言葉だった。この計算式に謎の係数エックスがかかれば、理論的に説明できるよと、よく言われた。
計算式や計算理論は世界中にたくさんあるけど、その中のどれかに確実に当てはまるはず。それに当てはまらない結果は、間違いか新発見。新発見なんてないはずだから、それは間違い。

なんでも理論的な計算式で判断する職場だった。それはF課長の影響が大きいのだと思う。だって、課長に報告書を提出すると、絶対に課長自身が計算するんだもの。

飄々とした凄腕エンジニア Sちゃん

コンピュータ系企業に勤めてたときに出会った凄腕エンジニア、Sちゃん。もともとはUNIX系のエンジニアだったかな。
ちゃんづけで呼んでるけど、妻子持ちのおっさんです。

技術的にもすごいのだけど、才能があるエンジニアを初見で判断し、その後輩エンジニアを育てることに長けていた。

会社には派閥や部署ってものがあって、こいつにこれは不要とか、これを教えるのはこいつにはまだ早いとか、いろいろな思惑のもとに部署の配置や決まったり、教える内容が決まる。

彼にそれ以外を教えてくれる人だった。
「仕事あるからさ、来いよ。スケジュールおさえる。」
建前上は仕事で、実態は個別研修なのだけど。
数日スパンで彼が教えてくれる内容には、マニュアルなんて存在しない。
とにかく触って覚える。やらせて覚える。

「これさ、キミら好きでしょ? だから触らせようと思って。」
とにかく知識の幅を広げて、興味があるところは伸ばす。
実際に触ってるときは何も言わない。横でニコニコしてるか、作業机でうなってる。
失敗してもいいけど、原因は何にあるのかをしっかりと勉強するまで、根気よく教えてくれる。
失敗するからには絶対に理由があるし、それは理論や知識、資料で解決できる。

「だってさ、キミらの仕事ってルーチンワークじゃん? キミらのためにならないし、一生それする気もないでしょ?」
たしかに。
「別に会社のためにやってるんじゃなくてさ、センスあるやつを育てたいだけなんだよね。自分も楽しいし。」
「勉強する気がないのは呼ばないよ、だって楽しくないもん。」

「だってさー、一生面倒見てもらえるわけじゃねーし。」
自分もSちゃんも、あの会社を去った。
というより、Sちゃんの子分はみんな会社を去った。
Sちゃんのやり方が会社という組織からケムたがられるのは当然だし、そういう人が気に入って教える子分も、組織からケムたがられるのもわかる。

彼は凄腕のコンピュータ技術者だったけど、プライベートでは一切コンピュータをさわらない人だった。
だってパソコンわかんないし、と言いながら笑っていた。

若いのにすごい Nさん

Sちゃんと同じ会社で出会った人。技術に対してとてもストイックな人だった。
業務としては先輩だったけど、自分より5歳くらい年下だったかな。

彼に関するエピソードもいろいろとあるのだけど、ここに書くのはあまり手が動かない内容なので。

技術を習得する意欲と、それに対するストイックさは、周囲では一番だと思う人。
勉強すればきっとうまくいくし、それに対する投資を惜しまない。


ということで

もう少し、知り合いほしいなあ、などと。